「天気の子」夏の風物詩となるか、神道と陰陽道とムー的考察

天気の子_アイキャッチ 映画
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もう全部好きな映画でした。特に水の表現と音楽の入り方に浸っちゃいました

夏になると観たくなる映画ってありますよね。私の場合は「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」「サマータイムマシン・ブルース」、本作もそんな一本になったらいいな、、、ってどれも大量の水がでてきますね

えっと、はじめの2本はわかるんですが「サマータイムマシン・ブルース」に大量の水?

汗です(即答)

・・・

先月2019年7月19日公開の本作、8月第1週を経た時点で興行収入59億円。前作「君の名は」に続いて新海誠監督、2作連続で100億円を突破する勢いです。これまで邦画監督で国内興収2作以上100億円越えは宮崎駿監督と本広克行監督のお二方のみです。

「天気の子」のレビューは既にたくさん書かれていますので、本作を観に行く・行かないの判断材料としての記事はそちらにお任せします。ここでは劇中にもたびたびでてきた雑誌『ムー(オカルト情報誌)』的視点で考察を試みたいと思います。尤も、神道に関しては全くの無学ですので以降は全て根拠のない『ムー的な空想遊び』と思って読んでください。

宮崎駿監督作品との共通点

本作を観た第一印象は新海監督版の「崖の上のポニョ」でした。ポニョは女神の子、陽菜(ひな)は巫女という違いはありますが互いに神のごとき力を行使する能力を持ちます。宮崎作品にはたびたび神道の色が濃くでることは多くの方が指摘されていますが、新海監督も前作「君の名は」に続き本作でも神道の世界が物語の土台となっています。
本作を観る方の多くは日本人であるがゆえ、この神道的な世界感は心地よくしっくりと馴染みます。新海監督が大ブレークした理由のひとつなのかもしれません。

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主人公:陽菜(ヒナ)と晴れ(ハレ)の音が暗示する神道の物語

本作で最も多く耳にする重要な言葉=音は、雨(アメ)、晴れ(ハレ)、陽菜(ヒナ)です。アメは天、ハレはハレ日、ヒナは雛と読み替えると途端に神道的な色合いが濃くなってきます。ハレは穢れを祓うという意味もあります。本作をこれらの言葉で記すとヒナがアメの力で穢れをハレさせる物語。本作の穢れの象徴は東京という事になるでしょうか。

神道の大祓詞の物語と雛祭り

神道で最もメジャーな祝詞(のりと)に大祓詞(おおはらえことば)があります。この詩文の中には罪(穢れ)の発生とそれを払うプロセスが記されています。
『國學院大學伝統文化リサーチセンター資料館 大祓詞』より抜粋および意訳です。
罪の発生は  『どんどん生まれ増えていく人民らがこれからきっと過ち犯すと思われる種々雑多な罪の行為 ~』
穢れを祓うプロセスは 『大祓の儀式を行って、祓い清めて下さる=穢れ(具体的には罪を付けた祓えの供物)を山の頂から落とし、力強く速い流れを司る川の女神が大海原まで穢れを押し流し、幾多の激しい潮流が渦を巻く荒海の女神が穢れを飲み込み、息=命の吹き出す場所に住まう神が根の国=あの世へ穢れを吹き放ち根の国に住まう女神がどことも知れず持ち去れば、罪穢れはついにすっかり消えてしまうだろう』
ここで注目は罪を付けた祓えの供物です。平安時代の陰陽道ブームでできあがった風習?穢れを祓う際に紙の人形(ひとがた)に自分の穢れを移し川へ流す「流しびな」
罪の発生する舞台を東京に設定し、罪を背負わせ払うための供物である陽菜が天の力を使って穢れを祓うという大祓詞をベースにした物語、、、と思えなくもないですよね?私だけですか、そうですか。

本作と大祓詞との相違点

大祓詞の詩文では最後、穢れはきれいに洗い流され再び穏やかな地に戻りますが、本作の最後は異なります。東京は祓いを中断されたまま放置されてしまいます。それは流しびなを犠牲にすることを良しとしなかった少年と少女の覚悟と決断による結果です。それでも人々はどうにか逞しく生活しているようです。決してバッドエンドではありません。

ついでにポニョの場合ですが、ポニョは命の泉の井戸に海水を注ぎ込んでしまいます。そしてその水を飲むことで強大な魔力を得て人間の姿になるとともに陸地を海で覆ってしまいます、恐らく住んでる人々もそのまま根の国に連れていかれたと思われます。物語の最後でポニョが人から魚そして泡に戻るとともに水も引いていきます。最後の最後にあるものと引き換えに再び人になるのですが、海の女神の子が人と暮らすには穢れを一度祓う必要があったのかもしれませんね。

「天気の子」も暑い夏が来るたびに観たくなる映画になりそうです

物語のティザー

「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」 少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。 それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった・・・

「天気の子」2019年7月19日公開 公式サイト(リンク)

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