Dec 2019.(1) 「ピーナッツバタークッキー」ピーナッツバターにまつわるお話し

ピーナッツバタークッキーアイキャッチ 焼き菓子

ピーナッツバターの作法

ピーナッツバターが好きだった。もちろんパンに塗って食べる。

子どもの頃はついついたくさん塗ってしまい、たびたびたしなめられた。
アメリカのドラマみたいに瓶に直スプーンで食べるなんてもっての外だ。

いつしか私はピーナッツバターに限らず、ジャムやマーマレードなどのスプレッドを均一かつ薄くうすくパンに塗る技術を獲得することになり、ほんの僅かなスプレッドでも満足できる鋭敏な味覚を獲得することになる。

可能な限り薄く均一に塗る方が、パンの風味も損なわれずスプレッドの風味も楽しむ事ができる。最善の作法だと考えている。

そんな私を見るたびに家人は、
「たくさん塗っていいんだよ」
少し哀しそうな顔をして慰めるように声をかけてくれる。

少々迷惑な話だ。

わたしは好きで薄く塗ってるんだから。
逆に家人の方が気の毒だ。そんなにたっぷり塗ったらスプレッドの風味しか味わえないのに。

話をピーナッツバターに戻す。

封印されたピーナッツバター。そして不意の再会。

ピーナッツバターが好きすぎる私は、大人になってからはピーナッツバターを封印した。
何枚でも無限にパンが食べられそうな気がするからだ。
新陳代謝の活発な成長期ならばともかく、大人にはとても危険なアイテムだという事をわたしは知っている。
警戒すべき食べ物なのだ。

そんな危険なピーナッツバターのたっぷり詰まった瓶が目の前にある。

「どうして?・・・」

自分で買ってきたのだから「どうして?」もないのだが、、、

禁を破ったきっかけは家人の所業である

先月、家人の風邪をしっかりもらった私は家人よりも症状がひどくなり、寝込んでしまった。
ようやく回復期にはいったころ、家人がカロリーを摂取させようと黒ごまクリームを買ってきたのだ。
「君がピーナッツバターを封印しているのは知っているから、体に良さそうなちょっと高い黒ごまクリームと、こっちも体に良さそうなちょっと高い食パンを買ってきた」と何故か自慢げな家人。
正直、黒ごまクリームには心惹かれなかったのだがせっかく気遣って買ってきてくれたものだ。

早速、塗って食べてみる。
ん? 不味くはない
んん? 嫌いじゃないな
んんん? むしろ美味しいとすら感じる

食欲はなかったはずなのだがあっという間にパン一枚を食べてしまった。

その日以来、毎日食べ続けることになり、わたしの体調もぐんぐんよくなった。
そして半月ほどで愛する黒ごまクリームの瓶は空になった。

開封の儀

「カパッ」と、ピーナッツバターの封印が解かれた音が聞こえた(=瓶の蓋を緩める音)

慎重にバターナイフを瓶に差し込み、ピーナッツバターを掬う。
掬いすぎないように。
パンの表面を薄く覆う分量でいいのだ。

パンはトーストする。
こうすることで表面の熱でピーナッツバターが軽く溶け拡がり易くなるのだ。
より薄くムラなく塗るための秘伝である(誇張である事は認めます)。

さながら熟練の左官工のように、パンの表面に乗せたピーナッツバターをナイフで伸ばしていく。
均一に最小限の量でパンの表面を完全に覆うように。
少し層が乱れた……

ピーナッツバターとは大人になって久しく対面することがなかったのだ。
多少の緊張が手元を狂わせることもある。このくらいの乱れは十分修復可能だ。

見守り

猫も固唾を呑んで見守る中、ようやく塗り終えた私は小さく息をついた。
知らず知らずのうちに息を止めていた。

塗り終わったパンを目の高さに持ち上げ、仕上がりを見る。

綺麗に塗れているように見える。

今度は上から見て、本当にヨシか考える。

ヨシ!

ブランクを感じさせない仕上がりにわたしは満足した。

テーブルの上には既に白湯で満たされたマグが用意してある。
熱すぎずぬるすぎない、ちょうど良い湯加減。ひとくち含み喉を潤す。

次はいよいよ食の儀

「いただきます」

躊躇うことなく長年封印していたピーナッツバターを塗ったパンを食む。

ん? 意外に塩味が効いてる?
んん? 美味しい?いやなんかちょっと?
んんん? クリーミィじゃないぞ?覚えてる味と違う!

記憶の中のピーナッツバターは殆ど塩味などなく、もっと甘くてミルキーだったはず、、、これではピーナッツ味噌
キュウリに付けて食べたら美味しいやつじゃん

わたしは軽くパニックに陥った…そのあとの記憶は曖昧である

帰宅した家人にわたしは昼間の不可解なピーナッツバターの味について報告する

静かに報告を聞き終えた家人。私はピーナッツバターって食べた記憶はないのだけれどと前置きをして
「ピーナッツバターとピーナッツクリームって呼び方が違うだけなの?」

もしかして!

すぐにググったわたしは自らの失策を恥じた

わたしがピーナッツバターだと思って愛していたスプレッドはピーナッツクリームだったのだ。
※「ピーナッツバター」とはピーナッツを炒ってペースト状になるまでミルやフードプロセッサーにかけたもの。ピーナッツに含まれる油分によりペースト状になるのでバターと呼ばれていても乳脂肪分は全く含まない。多少の滋味を嗜むことのできるオトナな子どもなら大好き!
※「ピーナッツクリーム」とは「ピーナッツバター」をベースに砂糖や水あめ、クリーム、ココアバター、植物油脂、食塩、脱脂粉乳などで調味したもの。甘くてミルキーでほとんどの子どもが大好き!

瓶にはまだたっぷりのピーナッツバター……わたしには食べきる自信など露ほどもない

どうして?

瓶に大量に残ったピーナッツバターの運命は?沈みゆくわたしの心とともに夜は静かに更けていった・・・

こたフレーム

ピーナッツバターは死せず

翌日。

気を取り直し、改めて大量のピーナッツバターをどうするか考えていた時
最近熱心に、我が家の猫が仔猫だったころのブログの整理をしている家人が可愛い記事を発掘していた。

猫が一歳の誕生日を迎える前の記事。
記事のタイトルは「ピーナッツクッキー」。

これだ!

ピーナッツバターたっぷりのクッキーにすればいいのだ。

食感をプラスするために、ひまわりの種も乗せよう。

そうと決まればわたしの作業はいつだって早いのだ

猫と家人が散歩にでかけている間に材料を手早く準備する。

こた外

散歩から帰ってきた猫と家人はこたつで遊びはじめたころ、下準備が終わった。

あとは焼くだけ。

記事にフォーク

「ピーナッツバタークッキー」のレシピ

ピナッツバタークッキーを焼く

※今回はこちらの本の中のムラヨシマサユキさんのレシピを参考にしました。
「ムラヨシマサユキさんのWeekend SWEETS」
<Amazon>

オレンジページ 2019年 12/2号 [雑誌]

ゆとさんブログでも紹介しています。

家人と遊び疲れた猫がキッチンの入口で寝転がってクールダウンしはじめると。

そろそろクッキーも焼きあがる頃。

ねこクールダウン

オーブンからクッキーが並んだトレイを引き出し、テーブルの上に移動。

ピーナッツの香りが立ち昇るなか、粗熱がとれるのを待つ。

いつの間にかクールダウンを終えた猫も一緒に見守る。

クッキーだけど、ショートブレッドっぽくなってしまったかな?

少し早いけれど、これで昼食にしよう。

ピーナッツバタークッキーにピーナッツバター

ドライフルーツのはいったヨーグルトとカフェインレスのコーヒーを用意。

家人もわたしもコーヒーを飲むと酔ってしまう。
だけどコーヒーの香りは好き。
なのでわが家ではカフェインレスのコーヒーを常備している。

家人のリクエストでピーナッツバターの瓶も添える。
クッキーの上に乗せて食べたいというのだ。
正直、どうかな?と思ったがリクエストなのだから仕方ない。

いそいそとクッキーを二つに割り、その片方にピーナッツバターを乗せる家人。

ピーナッツバタークッキーにピーナッツバター

いただきます。と、手を合わせてから早速ピーナッツバターを乗せたクッキーを食べる家人。

「いかがですか?」と問うわたしに

「んー、、、正直、どうかな?」

それはそうだ

わたしなら酸味のあるジャムかマーマレードを塗るのにな。

今度パンで試してみよう。

あれこれ雑談をしながら、ピーナッツとコーヒーの香りに包まれた昼食を愉しむのだった。

おススメの音楽 「Don’t Cry Now」リンダ・ロンシュタット

カントリーマアムなクッキーに合うアルバムを紹介

リンダ・ロンシュタットが大ブレイクする前年、1973年リリースの4thアルバム

カントリーっぽさを残した最後のアルバムかもしれません

彼女のバックバンドを務めていたイーグルスの名曲「Desperado」もこのアルバムに収められています

カントリーポップとバラードのバランスに優れた名盤

レコードプレイヤーをお持ちの方は是非アナログ盤でも聴いてみてください

<Amazon おすすめCD>

ドント・クライ・ナウ(紙ジャケット)

⇩いつもありがとうございます